前置詞aroundの奥深き世界を徹底解説!前置詞の世界を分析しようシリーズ

英語学習の中でよく出会う前置詞のひとつ「around」。その使い方は非常に多様で、空間の位置関係だけでなく、行動範囲、状況の周辺、さらには「〜について」といった抽象的な意味でも使われます。本記事では、Oxford Learner’s Dictionariesの定義をもとに、「around」の用法を例文とともに丁寧に解説していきます。


使い方1:周囲を囲むように・〜の周りに

「around」はまず、「何かの周囲を囲むように」「〜の周りにある・動く」という意味で使われます。位置や方向を示す最も基本的な用法であり、物理的な空間や動きの中で頻繁に登場します。

この意味での「around」は、対象を中心にして、それを取り囲むような配置や動きを表します。「around the lake(湖の周り)」「around the table(テーブルの周囲)」といった形で使われ、視覚的にイメージしやすいのが特徴です。


例文と解説

They walked around the lake.
彼らは湖の周りを歩いた。

→ この例文では、「湖(the lake)」を中心に歩いている様子が表現されています。具体的な動きと空間が視覚的にイメージできます。

The house is built around a central courtyard.
その家は中央の中庭を囲むように建てられている。

→ 家の構造が「中庭」を取り囲むように配置されていることがわかります。「around」は建築や空間の説明にもよく使われます。

He put his arms around her.
彼は彼女を腕で包んだ(抱きしめた)。

→ 「around」は身体的な動作にも使われ、「包む」「囲む」といったニュアンスを持ちます。感情や行動が伝わる表現です。


補足:この「around」はどんな言葉とよく組み合わさる?

この「囲む・周囲にある」という意味での「around」は以下のような語と一緒に使われることが多いです。

  • around the table(テーブルの周り)
  • around the corner(角の周り/近く)
  • around the world(世界中に)
  • around the park(公園の周りを)

いずれも、具体的な対象物を中心にした位置や動きを示す語句です。


使い方2:〜の反対側へ/反対側に位置する

「around」は「〜の向こう側」や「反対側」を表すこともあります。「角を曲がったところに」や「〜の背後に回る」といったイメージで使われることが多いです。


例文と解説

Our house is just around the corner.
私たちの家はすぐ角を曲がったところにある。

→ 「around the corner」は定番表現で、「角を回ったところ」や「近所」といった意味を持ちます。

The bus came around the bend.
バスがカーブを回ってやって来た。

→ この文では「around」は物理的に曲がる動作と方向転換を示しています。

There must be a way around the problem.
その問題を回避する方法があるに違いない。

→ ここでは比喩的に使われており、「問題を避ける/回り道する」といった意味になります。


補足:この「around」はどんな言葉とよく組み合わさる?

この使い方では、以下のようなフレーズが頻出です。

  • around the corner(角の向こうに/間近に)
  • around the bend(カーブの向こうに)
  • way around the problem(問題を回避する方法)

比喩的にも物理的にも使えるのが特徴です。


使い方3:円を描くように・循環的に

「around」は「円状に」「ぐるりと回るように」といった意味もあります。時間的・空間的に繰り返しや循環を表す場面でよく使われます。


例文と解説

They walked around the town looking for a place to eat.
彼らは食べる場所を探して町中を歩き回った。

→ 「around the town」で「町中をあちこち」という意味になります。特定の道ではなく、広範囲に動く様子を表します。

We sat around the fire and talked.
私たちは焚き火の周りに座って話をした。

→ 焚き火を囲んで座る、という配置を示しています。


補足:この「around」はどんな言葉とよく組み合わさる?

  • walk around(歩き回る)
  • sit around(取り囲むように座る)
  • wander around(あちこちをうろつく)

行動の範囲や方向を円形的に描写する表現に使われます。


使い方4:話題・関心の「周辺」=aboutの類義

「around」は抽象的に「〜について」「〜に関連して」という意味でも使われます。この場合は「about」に似た意味合いを持ち、話題やテーマに関する広がりを示します。


例文と解説

He has issues around food and dieting.
彼には食事とダイエットに関する問題がある。

→ 「around」は「〜に関連して」「〜について」という意味で使われています。

There are a lot of questions around her motivation.
彼女の動機について多くの疑問がある。

→ このように抽象的な話題や関心領域にも「around」は自然に使えます。


補足:この「around」はどんな言葉とよく組み合わさる?

  • questions around(〜に関する疑問)
  • issues around(〜に関する問題)
  • discussions around(〜に関する議論)

いずれも「about」の代替として、少しフォーマルかつ柔らかい表現になります。

使い方5:人や物の近くを動く・回ってくる(移動の軌道)

「around」は、人や物の周囲を回るように移動したり、軌道を描くように動く状況を表すときにも使われます。この場合、「どこかに向かう」動作というより、「〜を中心に動く」「巡る」「回ってくる」ような動きに焦点が置かれます。

この用法は、自然な移動や流れ、繰り返しの運動を示すときに非常に便利です。日常英会話では「come around(立ち寄る/意識を取り戻す)」「run around(走り回る)」などの句動詞でよく見られます。


例文と解説

The Earth moves around the Sun.
地球は太陽の周りを回っている。

→ これは物理的な運動を表しており、「around」は軌道や円運動に近いニュアンスを持ちます。

She came around to see me last night.
彼女は昨夜、私に会いに立ち寄ってくれた。

→ 「come around」は「ふらっと立ち寄る」という意味で、ややカジュアルな会話でよく使われます。

The kids were running around the playground.
子どもたちは遊び場を走り回っていた。

→ 動きが一箇所に留まらず、広範囲でぐるぐる動いている様子が伝わります。


補足:この「around」はどんな言葉とよく組み合わさる?

  • come around(立ち寄る/意識を戻す)
  • run around(走り回る)
  • fly around(飛び回る)
  • move around(動き回る)

これらはいずれも「around」が移動の軌跡や範囲を表すことに注目した例です。


使い方6:人や状況に合わせて・基準にして(調整や適合)

「around」は、「〜に合わせて」や「〜を基準として」という意味でも使われます。この使い方は、物理的な位置というよりは、時間・予定・条件などを他のものに「合わせる」ことを示す文脈でよく使われます。

この意味での「around」は、柔軟性や調整のニュアンスを持ち、「〜に合わせて計画する」「〜を中心に構成する」といった場面で便利です。


例文と解説

I can’t arrange everything around your timetable!
君の予定に全部を合わせることなんてできないよ!

→ 「around your timetable」で、「あなたの予定を中心に」=「それに合わせて」という調整のニュアンスになります。

We planned the trip around the weather forecast.
天気予報に合わせて旅行を計画した。

→ 計画の基準や軸を表現するのに「around」が使われています。


補足:この「around」はどんな言葉とよく組み合わさる?

  • around someone’s schedule(〜の予定に合わせて)
  • around a theme(テーマに合わせて)
  • around needs(ニーズに応じて)

柔軟に「〜を中心に・基準に」という調整の意味合いを含むフレーズに用いられます。


まとめ

「around」は単なる「周囲」や「回る」という意味に留まらず、「動きの範囲」「立ち寄り」「計画の基準」といった多彩なニュアンスを持っています。特に句動詞や熟語では、文脈に応じて意味が大きく変わるため、例文を通じてしっかりと身につけることが重要です。

会話でも文章でも、ネイティブスピーカーがよく使う表現が多いため、柔軟に理解し活用できるようにしておきましょう。

この記事を書いた人

いぎリス
いぎリス
イギリス人で英語と日本語のバイリンガルです!言語が大好きなので、毎日日本語を勉強しています。日本人があまり知らないネイティブ表現を紹介できれば嬉しいです。