前置詞”but”の奥深き世界を徹底解説!前置詞の世界を分析しようシリーズ

英語学習者にとっておなじみの単語「but」。多くの人は「しかし」という接続詞としてこの語を覚えていますが、実は「but」には前置詞としての用法も存在し、非常に洗練された表現が可能になります。本記事では、前置詞「but」の使い方にスポットを当て、その意味と用法を丁寧に解説していきます。


使い方:前置詞「but」は「〜を除いて」「〜以外に」を意味する

前置詞「but」は「except」「apart from」と非常によく似た意味を持ち、「〜を除いて」「〜以外に」といった意味を表すときに使われます。この使い方は日常英会話から文学的表現に至るまで、幅広く使われており、文語的な印象を与えることもあります。単なる否定ではなく、強調や皮肉を込めた表現としても活用されることが多いため、ニュアンスの理解がとても重要です。

以下では、「but」が持つ複数の意味と文型を、例文を通じて詳しく見ていきましょう。


例文と解説

1. 「〜以外に」「〜を除いて」の意味で使う前置詞

  • Everyone was there but him.
    (彼以外はみんなそこにいた。)
    → 「but」は「except」とほぼ同義で、人物や物事を「除外する」際に使われます。
  • We’ve had nothing but trouble with this car.
    (この車ではトラブルばかりだった。)
    → 「nothing but」は「トラブルしかなかった」という意味で、強調表現になります。直訳すれば「トラブル以外は何もなかった」。
  • Who but Rosa could think of something like that?
    (そんなことを思いつけるのはローザ以外に誰がいるだろうか?)
    → 修辞疑問文で「but」が使われており、「ローザしかいない」と言いたいときの表現です。

このように「but」は、単なる否定語以上に、対象の特別さ例外性を際立たせるために使われます。


2. 「〜ではない」という意味の強い否定的表現

  • The problem is anything but easy.
    (その問題は決して簡単とは言えない。)
    「anything but + 形容詞」は「まったく〜ではない」という強い否定になります。ここでは「簡単」とは正反対の意味合いを強調しています。

このパターンはややフォーマルで文学的な響きがありますが、エッセイやスピーチなどでよく使われます。


3. 数の順番や順序の中での「〜を1つ除いた」

  • I came last but one in the race.
    (レースで私はビリから2番目だった。)
    → 「last but one」は「最後から2番目」という意味です。
    「〜 but one」という構文は「(指定された順番から)1つ手前・前後」の意味を持ち、イギリス英語で特によく使われます。
  • Take the first turning but one.
    (最初の角を一つ越えて、その次の角を曲がって。)
    → 「最初の角を除いた次の角」で、「2番目の角」を意味します。道案内や位置を説明する場面で役立つ表現です。

このような表現は、少し遠回しで上品な言い回しに聞こえるため、ネイティブが自然に使うと非常に洗練された印象を与えます。


補足:この「but」はどんな言葉とよく組み合わさる?

前置詞「but」は以下のようなフレーズと一緒に使われることが多いです:

  • everyone but 〜(〜以外全員)
    例:Everyone but Sarah agreed with the plan.
    (サラ以外全員がその計画に同意した。)
  • nothing but 〜(〜だけ、〜しかない)
    例:He eats nothing but junk food.
    (彼はジャンクフードしか食べない。)
  • all but 〜(ほとんど〜、〜以外すべて)
    例:The city was all but destroyed.
    (その都市はほとんど壊滅していた。)
  • anything but 〜(決して〜ではない)
    例:She is anything but shy.
    (彼女は決して内気ではない。)
  • but one / but two(一つ/二つを除いて)
    例:Everyone but one voted yes.
    (1人を除いて全員が賛成した。)

このように、特定のフレーズで使われることの多い「but」は、セットで覚えることで記憶にも残りやすく、応用力もつきます


まとめ

前置詞「but」は、「〜以外」「〜を除いて」という基本的な意味を中心に、強調や順序表現など、英語の表現力を高めるうえで非常に役立つ語句です。とくに「nothing but」「anything but」などのセット表現は、試験英語やライティングでもよく問われるので、正確に理解しておきたいところです。接続詞「しかし」だけではもったいない! 前置詞「but」の真の実力を知れば、英語表現の幅は格段に広がることでしょう。

この記事を書いた人

いぎリス
いぎリス
イギリス人で英語と日本語のバイリンガルです!言語が大好きなので、毎日日本語を勉強しています。日本人があまり知らないネイティブ表現を紹介できれば嬉しいです。