前置詞”but for”の奥深き世界を徹底解説!前置詞の世界を分析しようシリーズ

前置詞「but for」は、日常英会話ではあまり見慣れない表現かもしれませんが、文語的・仮定法的な文で頻出する非常に重要な構文の一つです。日本語では「〜がなければ」「〜が原因で」などと訳され、場面によって意味合いが微妙に変化します。この記事では、「but for」の使い方とその深いニュアンスを、例文を交えながら丁寧に解説していきます。


使い方:「〜がなければ」「〜のせいで」——条件・原因・例外を示す前置詞”but for”

前置詞「but for」は、「〜がなければ」という意味を持ち、仮定法の文で特によく使われる表現です。形式としては、「if it were not for 〜」「if it had not been for 〜」と置き換えることが可能で、特定の条件や原因がなければ別の結果が生じていた、という仮定の文を作る際に用いられます。また、「〜を除いて」「〜の他には」といった意味で使われることもあり、場面によって柔軟な解釈が必要です。

この用法を理解するには、英語の仮定法過去・過去完了省略表現に対する知識も求められるため、英語学習者にとっては一歩上のステップとも言えます。以下に、実際の例文とともに、代表的な2つの使い方を詳しく見ていきましょう。


例文と解説

1. 仮定法での「〜がなければ(〜だったのに)」の意味

この場合、「but for」は仮定法の一部として使われ、「もし〜がなければ」という意味になります。たとえば、スポーツの試合や事故、病気など、何かが起こらなかったら違う結果になっていた、という過去の仮定に頻繁に用いられます。

  • He would have played but for a knee injury.
    (膝の怪我がなければ、彼は出場していただろう。)
    → 「but for」が「if it had not been for」と同じ意味で使われています。仮定法過去完了の構文で、過去の事実と反する仮定を表しています。
  • But for your help, I couldn’t have finished it.
    (君の助けがなければ、私はそれを終えられなかっただろう。)
    → 「but for」が文頭に来ることで、よりフォーマルで強調された表現になります。
  • But for the rain, we would have gone hiking.
    (雨がなければ、ハイキングに行っていただろう。)
    → 雨という原因によって計画が変更されたことを示しています。

この構文のポイントは、「but for」の後には名詞が来るということ。そして、文全体は仮定法過去完了(または仮定法過去)の構文になっている点に注意しましょう。


2. 除外・例外を表す「〜を除いて」「〜の他には」の意味

この意味での「but for」は、「except for」と似た用法で、特定の人や物事を除いた状況を描写する際に使われます。

  • The square was empty but for a couple of cabs.
    (その広場には数台のタクシーを除いて何もなかった。)
    → 「but for」は「except for」と同じように機能しており、「〜を除いて」という除外を示します。
  • It was a perfect day but for the wind.
    (風がなければ完璧な日だった。)
    → 状況をやや否定的に述べる場合にも使えます。日本語では「風が残念だった」と訳すと自然です。

この使い方では、仮定の構文ではなく、**現実の描写の中で「〜以外は」「〜を除けば」**という形で用いられます。文法的には比較的シンプルですが、文脈によって意味が大きく変わるため、注意が必要です。


補足:この「but for」はどんな言葉とよく組み合わさる?

「but for」は以下のような名詞やフレーズと組み合わさることが多く、仮定や例外を強調する役割を果たします:

  • but for your help / support / advice(あなたの助け/支え/助言がなければ)
    • But for your advice, I would have made a big mistake.
      (君の助言がなければ、大きなミスをしていただろう。)
  • but for the rain / wind / storm(雨/風/嵐がなければ)
    • But for the storm, we could have arrived earlier.
      (嵐がなければ、もっと早く到着できたはずだった。)
  • but for a few exceptions / cabs / guests(数台のタクシー/数人の来客などを除いて)
    • The hall was empty but for a few guests.
      (数人の来客を除いて、会場は空だった。)

このように、「but for」は感謝や後悔、状況の描写などに非常に効果的に使える前置詞表現です。使いこなすことで、より自然で豊かな英語表現が可能になります。


まとめ

前置詞「but for」は、「〜がなければ(仮定法)」や「〜を除いて(除外)」という2つの主要な意味を持ち、文語やフォーマルな表現でとても重宝される語句です。特に仮定法の文では、「but for + 名詞」で原因や背景を示し、現実とは異なる状況を描くのにぴったりです。

  • 仮定法構文で「〜がなければ」と使うと、文に深みが出る
  • 「〜を除いて」「〜以外には」の意味で現実描写にも対応
  • 組み合わせる名詞によって意味が大きく変わるため、語感を養うことが重要

ぜひ、例文やパターンと共に覚えて、実際のライティングやスピーキングでも活用してみてください。「but for」をマスターすれば、英語力に一層の磨きがかかること間違いなしです。