前置詞despiteの奥深き世界を徹底解説!前置詞の世界を分析しようシリーズ

英語で「〜にもかかわらず」という逆接の表現をしたいとき、「despite」は非常に強力なツールです。「in spite of」と同義でありながら、よりフォーマルかつ簡潔な印象を与えるこの表現は、ビジネス文書から日常会話まで幅広く使われています。本記事では、「despite」の意味、使い方、例文、よく使われる語との組み合わせなどを詳しく解説していきます。
使い方1:逆接の意味を持つ「〜にもかかわらず」
「despite」は、ある出来事や状態にもかかわらず、別の出来事や結果が起こるという意味を示す前置詞です。日本語で言う「〜にもかかわらず」「〜であるのに」という逆接の表現にあたります。
この前置詞は、「接続詞」ではなく「前置詞」であるため、後には名詞、代名詞、または名詞句が続くのが特徴です。文全体(主語+動詞)を続けたい場合は、「the fact that」を用いる構文がよく使われます(例:「despite the fact that 〜」)。
フォーマルな文章にもよく登場し、「in spite of」とほぼ同義ですが、「despite」の方がやや簡潔でスタイリッシュな印象を持ちます。
例文と解説
Her voice was shaking despite all her efforts to control it.
彼女の声は震えていた。声を抑えようとどれほど努力しても、なお。
→「despite all her efforts to control it」の部分が、努力という前向きな行動にもかかわらず、望ましくない結果(声が震える)が起こったことを表しています。
Despite applying for hundreds of jobs, he is still out of work.
何百もの仕事に応募したにもかかわらず、彼はいまだに失業中である。
→ここでは動詞「applying」が使われていますが、これは「動名詞(名詞的用法)」として機能しているため、「despite」の後に続けることが可能です。結果が努力と一致していないことを際立たせています。
She was good at physics despite the fact that she found it boring.
彼女は物理が得意だった。つまらないと感じていたにもかかわらず。
→この文は、「despite the fact that」という構文を使っています。これは、despiteの後に完全な文(主語+動詞)を続けたいときに使う非常に一般的な形です。
Despite his age, he remains highly active.
彼は年齢にもかかわらず、非常に活動的である。
→ここでは「his age(彼の年齢)」という単語がdespiteの後に来ています。高齢であることが通常なら制限要因となるところ、そうではないという逆接が際立っています。
Despite the rain, the festival was a success.
雨にもかかわらず、祭りは成功した。
→自然現象など予測できない要素があっても、結果がそれに反せずに良い方向に進んだことを強調する典型的な使い方です。
補足:この「despite」はどんな言葉とよく組み合わさる?
「despite」は、逆接的な状況を強調するために、以下のような語句とよく組み合わせて使われます。状況や出来事を示す名詞・名詞句との相性が非常に良く、内容に深みを持たせる表現が可能です。
- despite the fact that ~(〜という事実にもかかわらず)
- despite efforts to ~(〜しようとする努力にもかかわらず)
- despite the rain/weather(雨・天気にもかかわらず)
- despite his/her age(年齢にもかかわらず)
- despite difficulties(困難にもかかわらず)
- despite criticism(批判にもかかわらず)
これらはフォーマルな文脈でも頻繁に使用され、文章に説得力と対比を与える効果があります。
まとめ
「despite」は、「〜にもかかわらず」という逆接の意味を表す非常に実用的な前置詞です。特に以下の点が重要です:
- 意味:「〜にもかかわらず」「〜であるのに」
- 語法:「despite + 名詞 / 動名詞 / the fact that + 主語 + 動詞」
- ニュアンス:努力・障害・事実があっても、結果が異なることを示す
- 使用場面:日常英会話からビジネス英語、アカデミックライティングまで幅広く対応
「despite」をマスターすれば、より洗練された英語表現が可能になります。フォーマルな英文を書く際や、逆接を強調したいときには、ぜひ積極的に使ってみてください。
使い方2:despite yourself – 意図せずに何かをしてしまうときの表現
「despite yourself」は、「本人の意思とは裏腹に何かをしてしまった」ことを表す非常に印象的なイディオムです。直訳すると「自分自身にもかかわらず」となりますが、実際には「思わず〜してしまう」「つい〜してしまう」といった意味で使われます。
この表現は、感情や反応が無意識に現れた場面や、理性では抑えたかったのに抑えきれなかったような状況でよく使われます。文法的には「despite + oneself」という構造になっており、「yourself」「himself」「herself」「themselves」など、主語に対応する再帰代名詞を使う点が特徴です。
例文と解説
He had to laugh despite himself.
彼はつい笑ってしまった(本当は笑いたくなかったのに)。
→ ここでは「笑いたくなかった」「笑うつもりはなかった」けれど、状況が面白すぎて「思わず笑ってしまった」ことを表現しています。「despite himself」は、その“感情のコントロールが効かなかった”ニュアンスを強調します。
She smiled despite herself when she saw the puppy.
子犬を見て、思わず微笑んでしまった。
→ 微笑みたくない状況だったか、感情を抑えようとしていたが、子犬の愛らしさに負けて自然と笑みがこぼれてしまったという文脈です。
Despite myself, I started to enjoy the movie.
楽しむつもりはなかったのに、つい映画を楽しんでしまった。
→ 「どうせつまらないだろう」と思っていた映画なのに、意図せず楽しんでしまった、という自分への驚きや意外さを含んだ言い回しです。
He felt a surge of pride despite himself.
本人の意思とは無関係に、誇らしい気持ちが湧き上がった。
→ この場合も「誇らしさ」を抑えようとしていた、あるいは認めたくなかったのに、心の奥から自然と湧いてきてしまった感情を表しています。
補足:この「despite yourself」はどんな言葉とよく組み合わさる?
「despite yourself」は感情や反応を表す動詞と一緒に使われることが非常に多いです。下記はよく見られるパターンです:
- laugh despite yourself(思わず笑ってしまう)
- smile despite yourself(思わず微笑む)
- enjoy something despite yourself(意図せず楽しんでしまう)
- feel pride/relief/etc. despite yourself(思わず誇りや安堵を感じる)
この表現は、英語学習者が「感情を抑えきれない」という微妙な心理状態を自然に描写する際にとても便利です。
使い方5:場所や距離の「〜から離れて」を示す「from」
この使い方の「from」は、物理的な距離や位置の隔たりを示す際に使われます。
「ある場所からどれくらい離れているか」や「出発地点」など、空間的な位置関係を表すために欠かせない表現です。
日常会話から旅行、地理、事件の報道など、さまざまな場面で使われ、「from」の基本中の基本といえる用法のひとつです。
例文と解説
The crash happened 100 metres from the scene of the accident.
その衝突事故は、事故現場から100メートルのところで起こった。
→「from the scene of the accident」で、「事故現場からの距離」を示しています。
ここでは、「from」は空間的な出発点・基準点を示しており、100メートルの隔たりを表しています。
We live just a few blocks from the station.
私たちは駅からほんの数ブロックのところに住んでいます。
→この文でも「from the station」が「駅から」の意味で使われており、住居の場所と駅との距離関係を示しています。
「from」は距離感を直感的に伝えるとても便利な表現です。
補足:この「from」はどんな言葉とよく組み合わさる?
この用法の「from」は、以下のような語とよく組み合わされます:
- 【距離表現】:100 metres from, 5 miles from, 10 kilometers from
例:The school is about 2 kilometers from here.
(学校はここから約2キロメートルです) - 【位置を示す表現】:across from, away from, far from, close from
例:He lives far from the city center.
(彼は市の中心部から遠くに住んでいる) - 【場所の名詞】:from the station, from the office, from the beach, from the border
例:The house is just minutes from the beach.
(その家はビーチからほんの数分の場所です)
このように、距離+from+基準点の形が非常に定番です。場所を正確に伝えるための重要な表現パターンです。
まとめ
使い方5では、「from」が物理的な距離や位置関係の出発点を示す働きをしていることが分かりました。
「どこから」「どれくらい離れているのか」を伝える際に、なくてはならない前置詞です。
この使い方を覚えておけば、地理的な説明や道案内、位置の説明などが非常にスムーズになります。
英語で地図や案内板を読む力も確実にアップしますよ!
使い方6:視点・立場・観点を表す「from」
この用法の「from」は、「〜の視点で」「〜の立場から」といった思考や判断の基準点を示すときに使われます。
これは物理的な距離ではなく、**抽象的な出発点(考え方・視点)**を示す点が特徴です。
ビジネスシーンやプレゼンテーション、議論などで頻出する表現で、自分や他人の見方を丁寧に伝えるために非常に役立ちます。
例文と解説
From a financial point of view, the project was a disaster.
財務的な観点から見ると、そのプロジェクトは大失敗だった。
→「from a financial point of view」は「財務的な視点で」という意味です。
「from」は、その視点に立って評価・判断していることを表しています。
From here, you can see the whole valley.
ここからは、谷全体が見渡せます。
→この文は視覚的な位置ですが、「from here」が視点(この場所)を示しており、ある種の立場(視野の起点)を伝えています。
抽象的な視点にも物理的な視点にも使えるのがこの用法の柔軟さです。
From my perspective, this decision makes sense.
私の視点からすると、この決定は理にかなっています。
→「from my perspective」で「私の見方では」という意味になり、個人の判断基準・立場を表しています。
補足:この「from」はどんな言葉とよく組み合わさる?
この用法の「from」は、以下のような視点や立場を表す語句とよくセットで使われます:
- 【point of view】:from a political point of view, from a technical point of view
例:From a legal point of view, this contract is valid.
(法律的な観点からすると、この契約は有効です) - 【perspective】:from my/your/his perspective
例:From her perspective, the issue is much simpler.
(彼女の立場から見ると、その問題はもっと単純です) - 【standpoint】:from a medical standpoint
例:From a medical standpoint, early detection is crucial.
(医学的な観点からは、早期発見が重要です) - 【abstract nouns】:from experience, from logic, from observation
例:From experience, I know this method works.
(経験上、この方法が効果的だと知っています)
これらの語と「from」を使うことで、多様な立場・意見を明確に伝えることが可能になります。
まとめ
使い方6では、「from」が考え方や評価の出発点=視点や立場を表す役割を果たしていました。
この表現を使いこなせるようになると、議論やプレゼンで自分の見解を丁寧に提示できるようになります。
「from my point of view」「from a strategic standpoint」などの表現をストックしておくと、ビジネス英語でも役立つフレーズになります。
使い方7:範囲・幅を表す「from A to B」
この用法の「from」は、「AからBまで」とある範囲の始点と終点を示す際に使われます。
日常会話からビジネス英語まで頻繁に登場し、時間、距離、量、順番、抽象的な概念まで、幅広い対象に使える非常に汎用性の高い表現です。
この用法では、必ず「from A to B」の形を取り、AからBまでの連続性や包括性を強調します。
例文と解説
The temperature varies from 30 degrees to minus 20.
気温は30度からマイナス20度まで変化する。
→「from A to B」の基本形で、範囲が極端であることも強調できます。数値の幅を表すときによく使います。
The store sells everything from shoelaces to computers.
その店は靴ひもからコンピューターまで、あらゆるものを売っている。
→「from A to B」はこのように、品ぞろえの幅を印象づけるときにも使われます。「everything from A to B」で「AからBに至るすべてのもの」という形はよく出てきます。
Conditions vary from school to school.
学校ごとに状況は異なる。
→この例では「from A to B」ではありませんが、「from A to A(Aごとに)」という形で、それぞれの違いやばらつきを示しています。
補足:この「from」はどんな言葉とよく組み合わさる?
この用法の「from」は、「to」とのセットで使うことが必須で、以下のような語と組み合わせると自然です:
- 【時間】:from morning to night, from Monday to Friday
例:We’re open from 9 a.m. to 6 p.m.(午前9時から午後6時まで営業しています) - 【数値】:from 10 to 100, from 0 to infinity
例:The class is suitable for students from ages 5 to 12.(5歳から12歳までの子供向けのクラスです) - 【空間・距離】:from the entrance to the back, from here to Tokyo
例:It’s about 300 kilometers from Osaka to Hiroshima.(大阪から広島まで約300キロです) - 【範囲の広がり】:from A to Z, from basics to advanced
例:This guide covers everything from beginner to expert level.(このガイドは初心者から上級者レベルまでを網羅しています) - 【人・場所】:from student to teacher, from one country to another
例:Customs differ from country to country.(国によって習慣は異なります)
このように「from A to B」はあらゆるカテゴリに使え、包括的な説明や差異の強調に非常に便利です。
まとめ
「from A to B」は英語学習者がまず覚えるべき構文の一つです。単純な時間・距離だけでなく、抽象的な概念やグループにも使えるため、応用範囲が非常に広いです。
文章にリズムや説得力を持たせたいときにも役立つので、「everything from A to B」「from start to finish」などの表現を積極的に使いましょう。
使い方8:変化や移行を表す「from A to B」
この用法の「from」は、「ある状態や場所、言語、状況などから別のものに変化・移行する」ことを表します。
つまり、「from A to B」で「Aという状態からBという状態へ変わる」というニュアンスになります。
日常会話でもよく使われ、感情や状況の変化、翻訳、仕事の切り替えなど、動的な場面で特によく登場するのが特徴です。
例文と解説
Things have gone from bad to worse.
状況は悪い状態からさらに悪化している。
→「from bad to worse」は定番の表現で、「状況がさらに悪化した」ことを強調します。
translating from English to Spanish
英語からスペイン語へ翻訳すること。
→言語の切り替えの際にも「from A to B」を使います。特に通訳や翻訳などの文脈では非常に頻繁に使われます。
You need a break from routine.
あなたには日常の決まりきった生活からの休息が必要だ。
→この例では、「from routine」は「日常という状態からの離脱」を表します。何かから一時的に解放されるときに使われる形です。
補足:この「from」はどんな言葉とよく組み合わさる?
この「変化・移行」の用法の「from」は、以下のような単語・表現と一緒に使われることが多いです:
- 【状態の変化】:from bad to worse, from happy to sad, from rich to poor
例:She changed from shy to confident.(彼女は内気な性格から自信に満ちた性格に変わった) - 【言語や形式の変換】:from Japanese to English, from PDF to Word
例:The text was converted from HTML to plain text.(そのテキストはHTMLからプレーンテキストに変換された) - 【抽象的な移行】:from routine to adventure, from work to vacation
例:Take a step from fear to courage.(恐れから勇気へと一歩踏み出そう) - 【場所の移動】:from the office to home
例:I commute from home to work every day.(私は毎日、家から職場へ通っている)
この「from A to B」は、状態、場所、形式、心情など、あらゆる「変化」に使える万能表現です。
まとめ
この用法の「from」は、変化や移行をスムーズに伝えるための大切な前置詞表現です。「from A to B」の構造をしっかり押さえれば、文章に時間的・状態的な流れを自然に持たせることができます。
特に「from bad to worse」「from English to Japanese」のようなセット表現を覚えておくと、英語での表現力がぐっと高まります。
この記事を書いた人

- イギリス人で英語と日本語のバイリンガルです!言語が大好きなので、毎日日本語を勉強しています。日本人があまり知らないネイティブ表現を紹介できれば嬉しいです。