前置詞「in the face of」の奥深き世界を徹底解説!前置詞の世界を分析しようシリーズ

英語には、比喩的な表現を通じて複雑な状況や感情を伝える前置詞句が数多く存在します。「in the face of」もそのひとつで、困難に直面している状況や、それに反して何かが行われることを示すときに用いられる重要なフレーズです。今回はこの表現の意味と使い方を、実用的な例文とともに丁寧に解説していきます。


使い方:「in the face of」=「~に直面しても」「~にもかかわらず」「~を受けて」

「in the face of」は、直訳すると「~の面前で」「~の前に」という意味ですが、実際には比喩的に使われ、「困難・危機・反対・証拠」などに直面したにもかかわらず、またはそれを受けてという意味合いで使われる前置詞句です。

この表現には大きく分けて2つの使い方があります:

  1. 困難・問題・反対などに負けずに何かをする・続ける(=despite)
  2. 新たな証拠や事実を前にして、ある行動を取らざるを得ない、または反論できない(=as a result of)

いずれの用法でも、「in the face of」の後には名詞(あるいは名詞句)が続きます。日常英語からビジネス、学術的文脈まで幅広く使われる、知っておくと表現の幅がぐっと広がる前置詞句です。


例文と解説

She showed great courage in the face of danger.
彼女は危険に直面しても大きな勇気を示した。

→「in the face of danger」は「危険に直面しても」という意味。直訳的な理解よりも、「困難を恐れずに」という比喩的なニュアンスでとらえるのが自然です。

The campaign continued in the face of great opposition.
そのキャンペーンは、大きな反対があっても続けられた。

→ ここでは「great opposition(大きな反対)」が障害となっていますが、それにもかかわらず行動を続けたことを示しています。

He was unable to deny the charges in the face of new evidence.
新たな証拠を前にして、彼はその容疑を否定できなかった。

→ この場合は「新たな証拠が出てきた結果として否定できなかった」というニュアンス。これは「as a result of」に近い使い方で、前の2例とは異なる側面です。

In the face of economic uncertainty, the company remained stable.
経済の不確実性に直面しても、その企業は安定を保った。

→ 抽象的な概念(economic uncertainty)にも「in the face of」は使えることがわかります。ビジネス英語でもよく登場します。


補足:この「in the face of」はどんな言葉とよく組み合わさる?

「in the face of」は、困難や課題に直面する文脈でよく使われるため、以下のような名詞と一緒に使われることが多いです。

  • in the face of danger(危険に直面して)
  • in the face of opposition(反対にもかかわらず)
  • in the face of adversity(逆境に直面して)
  • in the face of criticism(批判を受けて)
  • in the face of new evidence(新たな証拠を前にして)
  • in the face of challenges(課題にも関わらず)

これらの表現は、特にフォーマルな文章、ニュース記事、ビジネス文書などで頻繁に使われ、状況に対する人物や組織の姿勢・反応を描写するのに最適です。


このように、「in the face of」は一見シンプルながらも、状況を的確に表現できる便利な前置詞句です。特に、逆境に負けずに行動を起こす姿勢や、新たな状況に対する対応を表現する際に非常に有効です。英語学習においてはもちろん、ビジネスやアカデミックな英語を扱う際にもぜひ活用したい表現です。


in the face of」と似た意味を持つ表現に、despitein spite ofbecause of などがありますが、それぞれニュアンスや使われる文脈に微妙な違いがあります。以下に、代表的な表現との違いをわかりやすく解説します。


✅ 1. 「in the face of」 vs. 「despite」「in spite of」

共通点:

いずれも「~にもかかわらず」という意味を持ち、逆境・困難・反対などがあっても何かをする、あるいは何かが起こるという文脈で使われます。

違い:

  • in the face of は、比喩的に「真正面から向き合う」というニュアンスを含みます。
     →「~に直面して、それでも~する」という姿勢勇気を強調する文脈が多いです。
  • despite / in spite of は、もっと事実ベースの対比。
     →「~があったけれども、それとは逆のことが起きた」という、客観的事実の対比に重点があります。

例文で比較:

  • She continued her work in the face of criticism.
     批判に直面しながらも、彼女は仕事を続けた。
    (→ 批判に立ち向かう、精神的な強さを感じさせる)
  • She continued her work despite the criticism.
     批判があったにもかかわらず、彼女は仕事を続けた。
    (→ 事実として批判があったが、それを無視した・影響を受けなかった)

✅ 2. 「in the face of」 vs. 「because of」

意味の違い:

  • in the face of:~にもかかわらず(=困難に直面しながら)
  • because of:~が原因で、~のために

用法の違い:

  • in the face of は「逆境を乗り越える」文脈で使われる。
  • because of は「その理由で」「その結果として」という原因・結果の因果関係を表す。

例文で比較:

  • They carried on in the face of danger.
     危険に直面しながらも、彼らは続けた。
    (→ 困難に抗して頑張った)
  • They stopped working because of the danger.
     危険のために、彼らは作業をやめた。
    (→ 危険が原因でやめた)

✅ まとめ:ニュアンス比較表

表現意味ニュアンス/強調点
in the face of~に直面しても、~にもかかわらず困難に立ち向かう態度や姿勢
despite / in spite of~にもかかわらず事実に反して何かが起こる、中立的な対比
because of~のために、~が原因で原因と結果の因果関係

この記事を書いた人

いぎリス
いぎリス
イギリス人で英語と日本語のバイリンガルです!言語が大好きなので、毎日日本語を勉強しています。日本人があまり知らないネイティブ表現を紹介できれば嬉しいです。