前置詞throughの奥深き世界を徹底解説!前置詞の世界を分析しようシリーズ

英語の前置詞「through」は、単に「~を通って」という意味だけでなく、多様な文脈で「進行」「経験」「原因」などさまざまなニュアンスを表現します。今回は、物理的な通過、感覚の伝達、期間の表現、障壁の克服、そして原因や責任の表現など、全9パターンに分けてその使い方を詳しく解説します。これらの用法をマスターすれば、あなたの英語表現が一層豊かになること間違いありません。


使い方1:物理的な開口部を通って入る(Physical passage into an opening)

この用法では、「through」は、ある物体の開口部や隙間を通って、中に入る・抜け出すことを表します。ドア、窓、ゲートなど、明確な開口部を介した移動が対象となります。

例文と解説

The burglar got in through the window.
泥棒は窓を通って侵入した。
→ 「through the window」により、窓という開口部を介して侵入したことを示しています。開口部を「通る」という動作を明確に表現する用法です。


補足:この「through」はどんな語とよく組み合わさる?

  • through the door
  • through the window
  • through the gate

これらは、物理的な開口部を示す定番のフレーズです


使い方2:ある空間やエリアを通って進む(Movement through a space)

この用法では、「through」は、全体の空間や地域、地理的エリアを通過する動きを表します。物や水の流れ、群衆の中を進むといったケースが対象となります。

例文と解説

The Charles River flows through Boston.
チャールズ川はボストンを流れている。
→ 「through Boston」は、川がボストン市内を通過することを示しています。空間全体を貫く流れを表す用法です。

The path led through the trees to the river.
その小道は木々の間を通って川に続いていた。
→ ここでは「through the trees」が、森の中を横切るように進む道筋を示し、最後に「to the river」で目的地を明示しています。


補足:この「through」は、以下の表現とよく組み合わされます

  • through the forest/trees
  • through the city
  • through the valley

これらは、地理的なエリアや空間全体を通過する動きを表現する際に便利です。



使い方3:物質や服を貫いて穴をあける、またはすり抜ける(Physical penetration – creating holes or slipping through)

この用法では、「through」は、物体に穴をあけるほどに貫通したり、物質の間をすり抜ける状態を示します。物理的な力によって何かが破れてしまったり、物の間を滑り抜けたりする場合に使われます。

例文と解説

The bullet went straight through him.
弾丸は彼の体を真っ直ぐに貫いた。
→ 「through him」は、弾丸が彼の体内を突き抜けたことを表しています。激しい衝撃の結果を伝える表現です。

Her knees had gone through her jeans.
彼女の膝はジーンズに穴をあけてしまった。
→ 「through her jeans」は、長年の使用や摩耗によりジーンズに穴があいてしまった状態を示し、物理的な摩耗・損傷を表します。

The sand ran through my fingers.
砂が私の指の間を抜けていった。
→ ここでは、砂が指の間の隙間に流れ落ちる様子を描写しています。細かい物質が移動する様子を表す使い方です。


補足:この「through」は、以下のフレーズとよく使われます

  • go straight through (真っ直ぐに貫通する)
  • run/flow/slip through (流れる、すり抜ける)
  • break through (突破する、侵入する)

これらの表現は、物質が完全に貫通していることや、穴があいてしまう状態を強調する際に活用されます。



使い方4:感覚の透過(Sensory penetration through an intervening barrier)

この用法の「through」は、壁や霧、遮蔽物などを介して、物事を見たり聞いたりすることを示します。物理的な障壁が存在する中で、対象を感じ取ることを表現するのに使われます。

例文と解説

I couldn’t hear their conversation through the wall.
壁を通して彼らの会話が聞こえなかった。
→ 「through the wall」は、壁という遮蔽物が原因で音が遮断され、会話を聞き取れなかった状況を示しています。

He could just make out three people through the mist.
彼は霧の中をかろうじて三人の姿が見えた。
→ 「through the mist」は、霧という不透明な障害物を介して、対象が視認できたことを表現しています。


補足:この「through」は、以下のような語とセットで使われます

  • through the wall
  • through the window
  • through the mist/fog
  • through the curtains

これらは、視覚や聴覚の情報が、何らかの障壁を経由して伝わる状況を説明するのに役立ちます。



使い方5:時間の流れ(Duration: from beginning to end)

「through」は、ある活動や出来事の開始から終了までの全期間を示す際にも使われます。これは、あるイベントの最初から終わりまでを通して経験することを強調するための表現です。

例文と解説

The children are too young to sit through a concert.
子供たちはコンサートを通して座っているには若すぎる。
→ 「sit through a concert」で、コンサートの全体を通じてという意味が伝わります。

He will not live through the night.
彼は夜を乗り切ることはないだろう。
→ 「live through the night」は、夜という時間の全期間中に生存するという意味を示しています。

I’m halfway through her second novel.
私は彼女の第二小説を途中まで読み終えている。
→ 「halfway through」は、進行中の状態、すなわち読書という活動の途中段階を示しています。


補足:この「through」は、以下の表現とよく使われます

  • sit through (〜を通して座る/経験する)
  • live through (〜を乗り切る)
  • be through with (〜を終える)
  • get through (〜を乗り越える/終える)

例文:

  • I stayed throughout the entire event.
    (イベント全体にわたって滞在した)
  • She’s nearly through with her homework.
    (彼女は宿題をほぼ終えたところだ)


使い方6:障害や試練を乗り越える(Overcoming obstacles or challenges)

「through」は、困難や試練、障害を乗り越える・克服することを表す際にも使われます。物理的な障壁だけでなく、試験や困難な状況を乗り越える際にも使用されます。

例文と解説

I have to get through the exams.
試験を乗り越えなければならない。
→ 「get through the exams」により、試験という障害を克服する必要があることを表現しています。

I’d never have got through it all without you.
君がいなければ、すべてを乗り越えることはできなかっただろう。
→ この文は、困難な状況全体(it all)を乗り越えたことを示し、「through」が乗り越しの状態を強調します。


補足:この「through」は、次のような動詞とよく組み合わされます

  • get through(乗り越える、終える)
  • make it through(乗り越える、耐え抜く)
  • come through(乗り切る、約束を果たす)

例文:

  • She managed to get through the difficult period.
    (彼女はその困難な時期をなんとか乗り越えた)
  • We must make it through these challenges.
    (私たちはこれらの困難を乗り越えなければならない)


使い方7:手段・方法を示す(By means of; because of)

この用法では、「through」は、何かを成し遂げるための手段原因を示します。
「by means of」と同じ意味合いで、「努力や方法」「原因」に基づいて結果が生じたことを表現します。

例文と解説

You can only achieve success through hard work.
成功は努力を通じてのみ達成できる。
→「through hard work」により、努力という手段が成功の要因であることを示しています。

It was through him that I got the job.
彼のおかげで私はその仕事を得た。
→ この文では、「through him」が原因や手段を示し、「彼が助けとなった」という因果関係を表現しています。

The accident happened through no fault of mine.
その事故は私のせいではなく起こった。
→ 「through no fault of mine」で、自分の責任によらず事故が起こったことを強調しています。


補足:この「through」は、以下のような言い回しとよく組み合わされます

  • through hard work(努力を通じて)
  • through his assistance/help/support(彼の助けによって)
  • through no fault of(〜のせいではなく)

例文:

  • The project succeeded through perseverance.
    (そのプロジェクトは忍耐力によって成功した)
  • They achieved remarkable results through teamwork.
    (彼らはチームワークによって驚異的な成果を上げた)

使い方8:差異・区別を示す用法(Differentiation)

「through」は、二つの物や状態の間の違い、区別を示すことにも使われます。たとえば、何かを見分ける際の「distinguish」といったニュアンスが含まれることもありますが、実際には「through」自体よりは「from」が一般的です。ただし、文脈によっては、「through」を使って完全に貫くかのような感覚で違いを明確にすることもあります。

(※参考例が明示されていない場合、こちらは他の用法と重複しがちですが、試験問題や状況説明において、しばしば「get through a difference」などの表現が使われることがあります。)

【補足】 この用法はやや抽象的ですが、具体例としては「He sorted through the items to pick out the defective ones.(彼は不良品を選び出すために物品を仕分けした)」のように、差異を明らかにする行動が含まれる場合に使われることがあります。


補足:この「through」は、以下の表現と組み合わされることもあります

  • analyze through …(〜を通じて分析する)
  • differentiate through …(〜を通じて区別する)
     ※通常は「from」を使うケースが多いですが、一部の文脈で「through」を使うこともある。


この記事を書いた人

いぎリス
いぎリス
イギリス人で英語と日本語のバイリンガルです!言語が大好きなので、毎日日本語を勉強しています。日本人があまり知らないネイティブ表現を紹介できれば嬉しいです。